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低床

最終更新日:2000年11月13日
 



 初めて熱帯魚を飼おうと思って,水槽をセットする時に「なぜ底に砂や砂利を敷く必要があるんだろう?」と疑問に思うかもしれません.魚達が住んでいる海や川の底には岩や砂があるのだから,水槽にもあって当然と考えるのが素直かもしれない.しかし,あまりに当たり前の存在であるとはいっても,その辺で取ってきた砂を入れるなど無造作になりすぎてもいけないのです(だからといって,異常に高価な砂でなければならないということでもありません).最近は,色や粒の大きさは勿論のこと,それ以タトにも様々な特性を持った底砂が豊富に出回っているので,これを活用してより自分の目的にあった個性的な水槽を作ってみるのも良いのではないでしょうか.ここでは,市販されている砂を中心にに印象などを書いてみます.

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底砂の役割

 熱帯魚自体を飼育する目的であれば,低床として砂をひくことは必ずしも必要ではありません.実際に,アロワナ,ガー等の大型魚やディスカスを飼育している人は,底砂をひかない,いわゆるベアタンクで飼育していることが多いのです.これは,底に貯まる残り餌等を吸い出すのを確実にしたいというのが最大の目的です.水質の悪化を避けることが大きな目的であれば,この方法は正しいともいえます.しかし,水質を安定化させようとすると,水草の果たす役割は大きく,その水草を植えるためには,低床は必須です.また,水草を植えることに限らず,低床に嫌気性のバクテリアが住み着くことによって,水槽内はより自然な環境になり,魚達にとっても住み易い水ができあがるのです.さらに,低砂の一番大きな効果として,水景を自然な感じにする,ということも挙げられるでしょう.水面近くの上層や中層に生息する魚を飼う場合には,底砂の有無はさほど重要ではないかもしれませんが, 底棲性の魚達にとっては底砂自体が必要不可欠な存在であると同時に,その粒の大きさや形状の違いが,実に重要な意味を持っているのです.ある種類の魚にとって低床は,ベッド,隠れ家,そしてまたある時には産卵床といった具合に,その用途も種類により様々なのです.さらに,低床を入れることによってライトの反射を抑え,魚を自然な色にする,自然な色に見せるという働きもあります.

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低床に用いられる主な砂(土)の種類とその特徴

    大磯砂(フィリピン砂)
     古くから普及している色の黒い天然砂で,もともと神奈川県の大磯海岸で取れた砂を用いていたことからこの名がついています.最近では,フィリピンでとれた砂が多く,フィリピン砂の名称で販売されていることもあります.本来的には海砂のため,特に安い値段で販売されている場合には,貝殻や珊瑚の破片が入っていることがあります.貝殻や珊瑚の破片は,pHを上昇させる効果があるため,水草水槽で利用する際にはこれをできるたけ取り除く必要があります.貝殻等は,コーラを入れたバケツに砂を入れて溶かすことができるので,あまりにも貝殻が多いようで有れば,大きな貝殻を手で除去した後にトライしてみても良いでしょう(処理後は必ずきれいに洗いましょう).値段の高い大磯砂では,貝殻などを除去している場合があります.砂粒の大きさも様々であり,サイズ別により分けたものもある.水草水槽では,比較的細かめのものがよいでしょう.いずれにしても購入時には,値段と内容物(貝殻などの有無や粒の大きさがそろっているか,また目的にあった大きさか)を良く確認する必要があります.また,川でも同様の砂(この場合は,川砂に分類されます)が採取できます.近くに清流が有れば,そこから頂いてくるのも良いかも知れません.不純物のない大磯砂は水質に影響を及ぼすことがほとんどなく,(10年とか,それ以上の)長期間使用していている大磯砂は水草水槽でも,熱帯魚水槽でも大変素晴らしい低床であるといえます.新しく水槽を設置する場合にも,長期間使用していている大磯砂を少し低床に加えることで,バクテリアが速く定着し,水質の安定化に寄与するとされています.汚れたら何度でも洗って使うことができますので,一度買えば一生付き合える素晴らしい砂であるといえます.

    大磯砂・中粒
     

    硅砂
     内陸部で採取される山砂(天然砂)で,大磯砂に比べるとかなり明るいベージュ〜白い砂である.この砂を使うと水槽全体が明るくなるが,色々な不純物を含んでいるせいもあり水質をアルカリ性,高硬度にさせる傾向があるので,一般的には水草水槽には向かない.純粋な硅砂はなかなか手に入らないが,純粋な硅砂であれば水質に及ぼす影響が少ない(水槽に導入した当初はやはり水質をアルカリ性に傾かせる)が,ホームセンターの園芸コーナーや熱帯魚コーナーにあるものには手を出さないのが無難かも知れない.これらの砂は熱帯魚の中でもグッピー,デルモゲニー等の汽水域の魚を育成するには向いているが,弱酸性を好む魚には辛い環境を作り出してしまう.私も,熱帯魚飼育を始めた頃にこのようなことを知らずに使用したことがあるが,ほとんどの熱帯魚や水草にとってはあまり良い結果を得られなかった砂である.なお,ジャレコが販売している「山砂」は商品名で,実際には山砂ではなく,天然川砂とされているが,焼結砂のような印象を持っている.また,デナリー・クォーツサンドは純粋な硅砂であり水質に与える影響が小さいとされているが,使用初期にはやはり水質をアルカリ性に傾かせるため,良く洗った上であらかじめ水に浸けておくのが無難である.そうすれば,水草水槽でも使用できる.


    デナリー・クォーツサンド
     

    珊瑚砂
     珊瑚の骨格が砕けて,石状になったもので,一般的に大粒で色が白い天然の砂(?)です.最近では,砕いてパウダー状にしたものも販売されています.そもそも,海の中にあったものなので,海水水槽で使用すべきもので,水草水槽では使ってはいけない.水質をアルカリ性,高硬度にする性質があるので,グッピーや汽水魚では少量を低床に混ぜたり,フィルタに入れたりして使用できるが,この場合にもほんのひとつまみ程度入れれば十分である.海水魚育成用の砂です.
     

    川砂
     川で採取した天然砂で,国内で採取した様々な色の砂から,アマゾン川で採取した真っ白な細かい砂まで様々である.基本的には,水質に影響を及ぼすものは少ないが,販売されているパッケージの注意書きを読んでおく必要があるでしょう.私の近くの川では,細かめの大磯砂のような砂をとることができますので,たまに少し取ってくることがあります.この場合,色々な雑菌などが付いていることがあるので,必ず熱湯殺菌して,日干ししてから水槽に入れるのが無難でしょう.市販されている砂としては,ADAのブライトサンド等が該当します.なお,ジャレコが販売している「川砂」は商品名で,実際にも天然川砂とされているが,焼結砂の印象を受ける.


    ADAブライトサンド
     

    田砂(新田砂)
     田圃の土から粘土質成分を取り除いて残った目の細かい天然砂.明るめの色彩で,水質にも影響を及ぼさない.新田砂の名称でも販売されている.手間が掛かっているから仕方がないのだが,価格が高めなのが気になります.エイ・エフ・ジャパン企画で出している新田砂などが該当します.酸性の水質を好む草でなければ,濾過器などにピートを入れれば弱酸性の水質までは作り出せるので,かなりおすすめの砂ではないでしょうか.コリドラスをこの砂で飼ってみたいと思っていますが,なかなか価格的におり合いがつきません.それにすでに大磯砂が十分入っているので,もったいなくって・・・(^^; もちろん水草水槽にもお勧め!です.私の夢の低床を実現してくれる砂です.


    新田砂
     

    焼結砂
     天然石などを人工的に焼結させて作り出した砂です.セラミック系の砂は先がとがっていることが多いため,指に傷をつくってしまうこともあり,取り扱いには注意が必要です.基本的に水質には影響しないので,安心して使用できます.先がとがっているような場合には,コリドラスなどの低床にすんでいる魚にとって凶器になってしまうので,こういう水槽では使用しない方が良いと思います.スドーから発売されている,パールサンドやサモアが販売しているサンディーシリーズ等が該当します.

    サンディー・ブラックホワイトソイル

     

    ソイル
     土を粒状に焼結させた人工砂(土)です.基本的には土で,水質を弱酸性の軟水にする性質があります.焼結された粒は1年程度で潰れてくるので,潰れてきたら換え時です(交換は6ヶ月〜2年程度に一度必要になります).また大磯の砂のように,砂を洗うことができません(砂粒が潰れて泥になってしまう)ので,一度セットしたら,そのまま使い続ける必要があります.南米産の水草,特にトニナ,ブラジリアンスターレンジ,パンタナルレッドピンネイト等を育成するには,絶対的にこれを使う必要があります(使わないとなかなか上手く育成できません).ADAのアクアソイルシリーズや,ニッソーのアクアプラントサンド,熱帯魚安心サンドなどがこれに該当します.アクアソイルシリーズは色違いの3種類が用意されているので,自分の感性にあった色を選択することができます.それぞれ,地域の名称が使われていますが,別にその地域の魚や水草用ということではありません.


    ADA・アクアソイル
     

    硬質ソイル
     ソイルを硬めに焼結したもので,ソイルと違って,簡単に崩れないのが特徴です.水質は,硬度を下げ酸性に傾かせる特徴がありますが,ソイルよりはその傾向が低いようです.ソイルが半年から2年程度でほぼ使い捨てなのに対して,長期間に亘って使えるので,お得かも知れません(それでも大磯砂のように洗って使うこと早めた方が賢明です).ADAのアクアセラミックシリーズ等が該当します.
     

    赤玉土
     園芸用に売られている焼結砂(土)です.ソイルと同じ効果がありますが,微塵が多く含まれているために,水槽に導入するには,予め篩にかけて微塵を取り除いておく必要があります.ソイルが発売されるまでは,アクアリストの多くは,赤玉土を使って酸性の水質を維持していたそうです.また,基本的に土なので,使用しているうちに崩れてしまいます.最近では,硬質の赤玉土も販売されているので,水槽に入れる必要がある場合には,こちらの方が適当かも知れません.


    (園芸用)赤玉土
     

    五色石
     装飾用に使用する大粒の石です.ワンポイントとして水槽に入れる場合が多いですが,低床として使用するには粒が多すぎて不向きです.熱帯魚水槽に入れても,隙間にゴミがたまりやすいので取り扱いに注意を要します.が,赤や緑,白など色が綺麗で目立つので,ワンポイントとして入れてみても良いかも知れませんね.


    五色石
     

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